INDEX
Project Story 004
宮古島リゾートホテル
開発計画
日本屈指のビーチリゾートで、
「ラグジュアリー」の頂きを目指す
Introduction
プロジェクトについて
「三菱地所は、学生時代からの憧れでした。だから、キャリア採用が決まったときは心底嬉しかったです」。そう振り返るのは、ホテル事業部で副主事を務める南貴彦だ。総合商社で営業職を経験した後、2021年、密かな憧れだった三菱地所への転職を果たす。だが、待ち受けていたのは想像以上に大きなチャレンジだった。南に託されたのは、「宮古島リゾートホテル開発計画」のプロジェクトマネジメントという大役だったのだ。
沖縄県宮古島市で進む「宮古島リゾートホテル開発計画」は、国際的なリゾート地として注目を集める宮古島に「ローズウッド 宮古島」を建設する一大プロジェクト。「ウルトララグジュアリー」をコンセプトに掲げ、ホテルオペレーター(運営委託会社)として、日本初進出になる高級ホテルチェーン「ローズウッド ホテルズ&リゾーツ」を迎え入れた。55棟すべてのヴィラがオーシャンビューで、館内のレストラン&バーでは地産品をふんだんに使った料理が提供される。まさに、宮古島の自然と文化を余すことなく堪能できる空間なのだ。
プロジェクトを進めるにあたり、南は何度も島を訪れた。地元の人たちとの対話を通じて島の魅力を深く掘り下げ、プロジェクトに反映させてきた。そして、2025年3月、満を持して「ローズウッド 宮古島」が開業。業界未経験の南にとって、それは一つのゴールであり、新たなスタート地点に立つことを意味している。
※当記事の情報は取材時(2024年12月)のものです。
Member Profiles
プロジェクトメンバー
-
南 貴彦(みなみ たかひこ)
2021年 キャリア入社
ホテル事業部 副主事総合商社を経て、三菱地所へ。「宮古島リゾートホテル開発計画」に加入し、人生初のプロジェクトマネジメントを担当する。設計・施工会社や行政機関との調整役を務め、宮古島の価値向上に取り組む。
Flow
プロジェクトの流れ

-
01
- 用地取得
-
用地取得の検討段階から、プロジェクト企画部とホテル事業部と連携。オペレーターの選定やホテルの方向性の検討、また、事業収支を精査しながら事業の組み立てを行う。用地取得の目途が立ったら、ホテル事業部がプロジェクトを引き継ぎ、戦略や企画などを練り上げていく。
-
02
- 開発
-
計画の目途が立ったら、行政協議の工程に移行。同時並行で、建物の設計にも着手する。計画が具体化したら、開発に向けて申請の手続きを行う。
南 プロジェクトメンバーに加入
-
03
- 新築工事着工
-
行政協議を重ね、合意した内容の実施に向けて、行政申請やクリスマスマーケットの出店店舗との調整や設置什器の安全性確認など詳細な準備を進める。
Talk
プロジェクトメンバーインタビュー
CHAPTER 001
宮古島の魅力を凝縮した、ウルトララグジュアリーホテル
- 「ローズウッド 宮古島」は「ウルトララグジュアリーホテル」を標榜しているんですね。
-
南: はい、一般的なラグジュアリーホテルを超える、別格のホテルを目指しています。「ウルトララグジュアリー」という言葉に明確な定義はありませんが、私たちの業界では超VIPの方が定宿にするような最高級のグレードを指すことが多いですね。「ローズウッド 宮古島」の場合ですと、ハイクラスの客室は各国の要人や海外アーティストなどの利用を視野に入れています。
ローズウッド ホテルズ&リゾーツさまは世界的にも名の知れた高級ホテルチェーンであり、今回が日本初進出。これだけの規模を誇るヴィラ形式のホテルは国内でも希少なので、話題性も抜群です。弊社社長である中島篤も社内の年頭挨拶で「ローズウッド 宮古島」を名指しで取り上げていました。私はプロジェクトの途中から参加した身ですが、胃がキリキリするようなプレッシャーを感じましたね(笑)
実を言うと、このプロジェクトには並々ならぬ思い入れがあるんです。以前から外資系ホテルの開発に関心があり、今回こうして関わることになりました。知識や経験を積む貴重な機会だと思い、全力で業務に打ちこんでいます。
- 加入から現在に至るまで、どのような思いでプロジェクトに向き合ってきましたか?
-
南: 自身のなかで、大きく2つのテーマを掲げていました。一つは「宮古島の魅力を国内外に伝えること」、もう一つは「一生ものの思い出になる空間をつくりあげること」です。ホテル内のレストラン&バーは開業の1年前から準備を進めており、各店のシェフに地産品を取り入れたメニューを考案していただきました。地元の方々にも「お、よくわかってるね」と納得いただけたら嬉しいですね。また、三菱地所は「みやこ下地島空港ターミナル」の運営にも携わっているので、宮古島を一つの媒体として捉え、幅広い領域から地域全体を盛り上げていきたいです。
CHAPTER 002
様々な制約のなかで、納得のいく着地点を模索する
- 普段は東京のオフィスに在籍しているんですか?
-
南: ええ、ほかのプロジェクトもいくつか抱えているので、基本的には東京を拠点に活動しています。そのため、なかなか宮古島に足を運べないもどかしさもあります。ただ、現地の文化や風土を肌で感じないことには本当の魅力を伝えられないと思っているので、島を訪れたときは地元の方々と積極的に交流するようにしています。宮古島には車座になって延々と泡盛を飲みまわす「お通り」という風習があるのですが、今のところその洗礼は受けていません(笑)
このプロジェクトをより深く理解するため、ローズウッドさまが運営するタイのホテルを視察したこともありました。ロケーションや客室の意匠もさることながら、ホスピタリティも超一流。超VIPの方たちが求めている空間やサービスなどを学ぶ貴重な体験となりました。
- プロジェクトを進めるうえで、宮古島ならではの課題もあったのでしょうか。
-
南: 唯一無二のロケーションは島の魅力でもありますが、それゆえの課題もありました。遠隔地ということもあり、工事の職人さんを確保するのも一苦労でしたし、頻発する台風も悩みのタネでした。工期にも影響を与えかねないので、初夏から秋にかけての台風シーズンは気が気ではありませんでしたよ。
しかし、それ以上に関係各所の足並みを揃えることに四苦八苦しました。「ウルトララグジュアリー」という高い目標を実現するとなると、意匠面でのこだわりも強くなります。実際のところ、建材や部材、調度品などは厳選されたものばかりです。
とは言っても、予算や工期との兼ね合いもあります。となると、ウルトララグジュアリーの魅力を体現するために死守すべき部分と、クオリティを求めすぎている部分との見極めが非常に重要になってくるわけです。例えば、デザイナーが希望した海外メーカーの家具を使うのか、それとも工期優先で似たようなデザインの家具で代替するのか、といった感じですね。こうした難しい選択・見極めを迫られる場面が多く、スツール一つ選ぶだけで何度も議論を重ねたこともありました。それもこれも常に「お客さまが求めているウルトララグジュアリー」を追求しているからです。
- それは悩ましいところですね。
-
南: 三菱地所、設計・施工会社、デザイナー、ローズウッドさま……と、それぞれにこだわりたいポイントがあるので、せめぎ合いのなかでプロジェクトを進めていきました。開発の段階から加入した私ですらこういった感じですからね、プロジェクトを1からまとめ上げた前任者の手腕には感服しきりです。
PROJECT
PHOTO GALLERY


CHAPTER 003
無事にお客さまをお迎えできたとき、本当の感動を味わえる
- 大変だった分、建物が完成したときの感動もひとしおでしょうね。
-
南: ええ、それこそ完成形を想像するだけで泣きそうになるくらいですから。けれども、私たちの業務は「ホテルが完成したら終わり」ではないんですよ。開業に向けた調整や手続きなどが山積みですし、当初のコンセプトや基準がどれだけ実現できているのかを細かくチェックする作業も控えています。そういう意味では、本当の感動を味わえるのは、開業してお客さまをお迎えできたときでしょうね。プロジェクトが落ち着いたらプライベートで宿泊して、至福のひとときを過ごすつもりです。
- 今回のプロジェクトを通じて、学んだことを教えてください。
-
南: 前職は営業マンだったので、いつも “お客さまファースト”の精神で仕事に取り組んでいました。お客さまの要望に応えることが大前提で、あくまでも主体はお客さまにありました。しかし、三菱地所に転職してからは、それまでとは異なる世界が見えてきたんです。人生で初めてプロジェクトマネジメントを任され、より広い視野をもって仕事に取り組めるようになったというか。予算や工期などの縛りがあるなかで、多くの関係者とプロジェクトを進めていくことの難しさや面白さを知ることができました。これは個人プレーが多い営業職では、なかなか味わえないことでしょう。転職してからの数年間で、自身が飛躍的に成長しているように感じます。
