INDEX
Project Story 001
大手町
ゲートビルディング
唯一無二の価値を
生みだす、
神田と大手町の“結節点”
Introduction
プロジェクトについて
2020年1月、三菱地所は「丸の内NEXTステージ」と題したまちづくりプロジェクトを発表。このプロジェクトは大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアの賑わいをさらに拡げ、周辺エリアの価値向上を目指している。
その一環として「(仮称)内神田一丁目計画」も本格的にスタート。大手町エリアと神田エリアの境界に約1,000平方メートルの交流広場を整備し、高さ約130メートルの「大手町ゲートビルディング」を建設する。また、2つのエリアを隔てる日本橋川には、人道橋を架けて歩行者の流れを促進。大丸有エリアを貫く仲通りが神田エリアへ延びるかたちとなり、エリア間がシームレスに調和する。このプロジェクトはまさに人と人、文化と文化を結ぶ架け橋となることを目指す。
大手町ゲートビルディングは、2026年7月の竣工を予定している。プロジェクトを主導する小鴨と勝田は、既存建物の解体工事中に着任した。不動産の開発業務は未経験であった2人にとって、プロジェクトの進行は試行錯誤の連続だ。あるときは行政協議の調整に追われ、またあるときは思わぬトラブルに翻弄され……。それでも手さぐりで進むほかに道はない。社内外の協力者に背中を押され、2人はラストスパートを駆け抜けようとしている。
※当記事の情報は取材時(2024年12月)のものです。
Member Profiles
プロジェクトメンバー
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小鴨 翔(おがも しょう)
2021年 キャリア入社
丸の内開発部 主事もともとは放送局員だったが「新しいことにチャレンジしたい」との思いから、三菱地所に転職。入社2年目で内神田一丁目計画に加入したが、工事が進んでいる物件を担当するのは今回が初めて。
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勝田 健介(かつた けんすけ)
2018年 新卒入社
丸の内開発部 副主事2022年より丸の内開発部に配属。それ以前は空港事業部に所属しており、入札や空港運営会社における総務・人事などの業務を担当していた。
Flow
プロジェクトの流れ

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01
- 地権者との勉強会
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プロジェクトが本格的にスタートする前に、地権者の方々と開発に関する勉強会を実施。両者で意見を交わし、開発への理解を深める。
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02
- 行政協議・申請/建物設計
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計画の目途が立ったら、行政協議の工程に移行。同時並行で、建物の設計にも着手する。計画が具体化したら、開発に向けて申請の手続きを行う。
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03
- 既存建物の解体
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建設業者を選定・発注したら、まずは既存建物の解体工事を行う。
小鴨 プロジェクトメンバーに加入
勝田 プロジェクトメンバーに加入
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04
- 新築建物の建設/リーシング
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2026年7月の開業に向けて、ビルの新築工事がスタート。その間、商業エリア・オフィスエリアのリーシング(テナントの誘致)も進められる。
Talk
プロジェクトメンバー対談
CHAPTER 001
2つのエリアの“結節点”を担う、内神田一丁目計画
- 工事は着々と進んでいるようですが、周囲からの期待は伝わってきますか?
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小鴨: かつて江戸の武家地が広がっていた大手町と、町人地として栄えた神田。まちの成り立ちや性格はまったく異なりますが、今回のプロジェクトが“結節点”となり、両エリアはこれまで以上に深く結びつくことになると考えています。大手町ゲートビルディングがどのような効果をもたらしてくれるのかと、地権者や近隣住民の方からも期待が寄せられています。
勝田: 現場に行くと、道行く人がときどき口にしているんですよ。「このビル、どうなるんだろう?」って。その声にはどこか期待が込められていて、私としても自然と気持ちが引き締まる思いです。
小鴨: 例えば、大手町で働く人が橋を渡って神田エリアの飲食店に足を運んでみたり、神田の住民がビルの麓の広場でひと休みしたり。新しい人の流れや賑わいを生み出すことが、このプロジェクトの肝だと考えています。

- お二方はどのような業務を担当しているのでしょうか。
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小鴨: 私は主に建物のハード面を担当しています。工事全体の進捗を管理しつつ、何か問題が発生した場合には設計・施工会社と連携して対応します。また、建物の仕様をまとめたり、行政手続きを進めたりするのも大切な業務です。
勝田: 小鴨さんの領域と重なりますが、常に各ステークホルダーの調整役として動いています。設計・施工会社、地権者、行政等と滞りなく協議を重ねるために円滑なコミュニケーションを心がけています。また、竣工後の運営管理に向けて、プロパティマネジメント会社と具体的な運用方法を検討中です。
小鴨: 当チームは主要メンバーが4名なので、業務に明確な棲み分けがあるわけではありません。個人で一つの業務に向き合うこともあれば、チームで動くこともある。
勝田: 特にトラブルが発生した場合は、チームで結束しないと乗り越えられないですからね。社内だけではなく、設計・施工会社などと意見を出し合って、ベストな解決策を模索する。
小鴨: チームには、多様なスキルやバックグラウンドを持ったメンバーが揃っているので、いつも助けられています。建築士免許を持つ先輩からアドバイスをもらうこともあれば、勝田さんが別部署の人を繋いでくれることもあります。
勝田: 時間を惜しまず、徹底的にディスカッションするチームですよね。それもこれも全員が同じゴールを見据えているからでしょう。誰もが便利に利用できるビルをつくりたい、つい足を止めて眺めたくなるようなビルをつくりたい。そんな思いが原動力になっていると思います。
CHAPTER 002
担当者の誠実な姿勢がプロジェクトをゴールに導く

- 小鴨さんは異業種からの転職なんですね?
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小鴨: はい、もともとは放送局に勤めていました。そこでは番組制作はもちろんのこと、関連グッズ制作などの周辺ビジネスにも携わっていました。一通りの現場を経験したタイミングで「なにか新しいことにチャレンジしたい」という気持ちが芽生え、三菱地所のキャリア採用にエントリーした次第です。
とはいえ、不動産開発の分野はまったくの未経験。まさに無謀なチャレンジです。けれども、不動産開発と番組制作には共通点があるようにも思えました。番組制作も自分一人だけではなく、技術・美術・出演者・営業等、様々な職種の人々がチームになって初めて一つの番組が成立します。不動産開発もまた、設計・施工・管理等、様々な関係者でつくり上げていく仕事です。つくるものは異なっても、本質はどこか通じるものがある。不安はありましたが、採用担当者の「思い悩まず、安心して飛びこんできてください」という言葉を信じることにしました。
- 現場でノウハウを積んでいくような感じですか?
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小鴨: そうですね。だから、入社当初は打ち合わせの話に着いていくのがやっとでした。わからない専門用語をメモして後から調べたり、打ち合わせ後に担当者に質問攻めしたりして少しずつキャッチアップしていきました。設計・施工会社の担当者や行政の担当者からしたら、私が唯一の三菱地所の担当者ですからね。不手際がないように必死で喰らいついていました。
- 前職の経験が現在の業務に活かされることもありますか?
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小鴨: 今回のプロジェクトに関連して立ち上げた「めぐるめくプロジェクト」のブランディングムービーの制作を手伝いました。ディレクター時代の経験を活かせたので、少しは貢献できたのではないでしょうか。
勝田: 小鴨さんの視点が加わることで、私たちが当たり前だと思っている三菱地所ならではの長所・短所に気づかされることも多いです。
小鴨: でも、空港運営会社に出向していた勝田さんも特殊と言えば特殊な経歴ですよね。だから、お互いスタートの段階では、不動産開発について手さぐりの状態でしたよね(笑)
- 同じような境遇が結束力の強さにも関係している?
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勝田: というよりも、私たちのチームはコミュニケーションが活発で、日頃から上手く連携できている印象です。個々で進めなければいけないタスクがあるにしても、お互いの進捗をある程度把握し、いつでも助け合える関係性が築かれています。
小鴨: そうそう、日々目まぐるしくやりとりしています。転職してから思うのは、うちのチームに限らず、三菱地所の人はみんな親切だということ。どんな些細な質問でも丁寧に答えてくれますし「いっしょに働きたくないな……」と思う人が一人もいない(笑) 皆さん情熱と冷静な判断力を兼ね備えていて、仕事に対してとにかく前向き。
勝田: 加えて、誠実な人も多いと思いませんか? 不動産開発の業務は調整力がものを言うので、相手を尊重し敬意を持って接することが不可欠。そうでなければ、プロジェクトは立ち行きません。自ずと誠実さが問われますよね。
小鴨: おっしゃるとおり、プロジェクトの担当者は他者から信頼される人間でなくてはいけません。この業界で経験を積んでいく中で「自分は他者の信頼に足る正しい判断ができているのか?」と、我が身を顧みる機会が増えているように感じます。
PROJECT
PHOTO GALLERY


CHAPTER 003
「個の力」と「チームの結束」がプロジェクトの柱になる
- 業務のやりがいや達成感を得られる瞬間を教えてください。
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勝田: 建物が完成に近づいていく様子を間近で見ていると、「あぁ、日々の積み重ねがどんどん形になっていくぞ」と胸が熱くなります。
小鴨: 自分たちの手がけた建物が50年、100年と残り続けるって、改めて考えるとものすごいことですよね。
勝田: 不動産開発は完成までに長い年月がかかるため、プロジェクトの途中で異動になることも少なくありません。今回は竣工を見届けられそうなので、私のキャリアの中でも特に思い入れのあるプロジェクトになるでしょう。
小鴨: 私たちが関わるのはプロジェクトのほんの一部に過ぎませんが、それでも数えきれないほどの課題がありました。なかでも印象に残っているのは、人道橋の工事中に地中から支障物が発見されたこと。その調査・対応のために工事が一時中断し、下手をすると竣工が一年以上ズレこむ恐ろしい事態に。なんとか対策を講じるために設計会社や施工会社の担当者と膝を突き合わせて新たな施工方法を模索しました。練りに練った代案が行政手続きをクリアしたときの達成感といったら……。今でも忘れることができません。
勝田: 今回のプロジェクトを通じて、不動産開発がいかに多くの人々の協力によって支えられているかを改めて実感しました。
小鴨: チームワークの重要性を痛感するエピソードは事欠きませんからね。一方で、チームを構成する個人も「この分野なら自分が誰よりも詳しい!」と胸を張れるくらいの情熱が求められる。そのため「チーム」と「個人」の働きを高水準で保たなくてはなりません。もちろん簡単なことではありませんが、その苦労を上回るくらい日々のやりがいに満ちています。
